その他登録や勤務登録なら、会社を辞めても失業手当が出ますが・・・
会社を辞めたら受けることができる雇用保険による給付のひとつである「基本手当」、一般的には失業手当とか失業保険と呼ぶ方がなじみがありますね。
この失業手当、その他登録社労士でありながら会社員である私でも、退職すればもらう(給付を受ける)ことができます。
この失業手当を受けることができることも、「その他登録のメリット」と解説されていることもありますが、事はそんなに簡単ではありません。
少なくとも私は、これを「その他登録のメリット」とは呼ばないでおきます。
>> 社会保険労務士「その他」登録のすすめ
「その他登録」や「勤務登録」だから失業保険がもらえる、というわけではありません
その他登録や勤務登録なら失業保険(基本手当)を受けることができて、開業登録であれば失業保険を受けることができない、これは勤務等(勤務・その他)登録のメリットだ、という誤解?は、
・開業登録ではないから開業できない(しない)
・ ↓
・会社を辞めたら新しい就職先をさがす
という、単純な考えから生まれたものだと思います。
例えば私は「その他登録」ですが、会社を辞めたら開業するつもりで就職する気は全くありません。ですから失業手当はもらえません
会社を退職してハローワークに行けば、自動的に失業手当(基本手当)が受けられるわけではありません。
以下の条件を満たしたうえで、求職の申し込みをする必要があります。
・就職したいという積極的な意思
・いつでも就職できる能力
・積極的に求職活動を行っているにもかかわらず失業の状態
では私は?
就職したいという積極的な意思など、さらさらありません。
求職しているふりをすると・・・それは不正受給です!
「開業したい」という想いを隠して、いちおう求職活動をするというのはどうでしょうか。
りっぱな「不正受給」です。
ウソでも就職の意思を示して、形だけでも求職活動をすれば、不正受給とはされないかもしれませんが、私にはできません。
不正受給の「3倍返し(支給額+2倍の金額の納付が命じられる)」がこわいわけではなく、残念ながら私が倫理規定に縛られる「社会保険労務士」だからです。
「なんで自腹を切ってまで登録しているの?」と聞かれたら、「退職後に開業するつもりでしたから」と答えないと虚偽申告になってしまいます。
求職中に独立開業したら受けられる「再就職手当」すらも、私は受けられません
会社を退職後、求職中に開業すると、「再就職手当」を受けることができます。
再就職という名称ですが、就職する代わりに個人事業主として事業を始めても、もらえるものです。
しかしこれには、「求職中に」という条件が付いてます。
求職しない私に、もらえる道理はありません。
いわゆる士業も、失業手当(基本手当)を受けられるようにはなりましたが・・・
厚生労働省が2013年1月25日に出した「公認会計士、税理士などの資格を持つ方の失業給付の取扱いが変更になります」という書面にある通り、2013年2月1日から士業の有資格者(登録者)についても失業手当(基本手当)が支給されるようになりました。
それまでは、会計士や税理士などは、登録を抹消しない限りは個人事業を営んでいると判断されて、失業手当(基本手当(失業給付)の支給対象にはなりませんでした。
この書面には「社会保険労務士」も明記されていますので、登録社労士もその対象です。
しかしこの書面には、「開業や事務所に勤務している事実がないことが確認でき、要件を満たしていれば、雇用保険の受給資格決定を受けることができます。」と書かれています。
この満たす必要のある「要件」は、普通の求職者に対する要件と同じです。
結局、「就職の意思」が必要なのです。
「勤務登録」であればとか、「開業登録を抹消(退会)したから」という問題ではありません
確かに「勤務登録」社労士であれば、「開業の意思はありません、就職したいのです」という意思は通じやすいのかもしれません。
開業登録で会社勤めだった方でも、登録抹消(退会)とか勤務等(勤務・その他)への登録変更をしなくても失業手当を受ける道が開かれたのでしょう。
しかし、これらの登録形態は問題ではありません。
失業手当(基本手当)を受けるための条件を満たしているか否か、これが問題になるのです。
結局、失業手当を受けられることは、「その他登録」のメリットにはなりません
すでに30年間、雇用保険料を支払い続けた私ですが、その恩恵にあずかれそうもありません。
あくまで「保険」ですから、言わば「安心料」です。
お世話にならずにこの歳まで来れたことに、素直に感謝するとしましょう。
今、会社をクビになったら? それならハローワークに駆け込みます!
カッコいいことばかり書いてしまいましたが、これらはあくまで私が、定年退職もしくは自主的に早期退職した場合のお話です。
今、急にクビになったり、会社がおかしくなったりしたら、私にそんな余裕はありません。
とりあえずの生活のために、ハローワークで就職先を探さなくては!
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