なぜ労働基準法違反はすぐに処罰されないの?

なぜ労働基準法違反はすぐに処罰されないの?

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残業代未払いや遅刻時の罰金など、労働基準法に違反している事例を耳にした方も多いでしょう。
労働基準法に違反しても罰則はないのでしょうか?

あります。

それも罰金から懲役刑まで、労働基準法には違反した場合の罰則が定められています。
その中でもいちばん重い罰則は、労働基準法第5条「強制労働の禁止|違反で、

・1年以上10年未満の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金

となっています。

労働基準法違反をしても、通常はすぐに処罰されません

実際に労働基準法違反が見つかった場合、どうなるのでしょうか。

・是正勧告

労働基準監督官が労働基準法をはじめとした労働法規の違反を発見した場合は、改善するよう促す「是正勧告」が行われます。

違反がはっきりしているのに、罰則もあるのに、なぜでしょう?

・刑法に定める犯罪して「是正勧告」で済むでしょうか?
・交通違反は道路交通法に従って反則金や罰金を取られます
・税法に違反すれば加算税や延滞税がかかり、脱税という罪にまで問われるのに・・・

なぜ、「ちゃんと直しなさいよ!」という注意だけで済むのでしょうか。

労働基準法は過去にさかのぼって、違反の事実をなくすることができることが理由のひとつなのか

新聞紙上をにぎわせる「残業代未払い」は、間違いなく労働基準法違反です。
しかし過去の残業代を後からでも払いさえすれば、罰則が適用されなくなります。

道路交通法では、たとえば駐車違反があった事実を後から取り消すことはできないのとは大きな違いです。

でも、なぜこんなことが許されるのでしょうか。

軽微な違反や、経営者の認識不足、では理由にならない

労働基準法には、就業規則変更届の提出や賃金台帳の備え付けなど、細かな規定もたくさんあります。
書類の不備などの、ちょっとした違反だから罰則を適用しないというのは理由にはなりませんね。

他に考えられる理由としては、使用者がみな労働法規を熟知しているわけではない、ということではどうでしょうか。
確かにアルバイトを1人雇っただけでも、法的には立派な「使用者」となり、労働基準法をはじめとした様々な労働法規の制限を受けることになります。
でも「知らなかったから罰則を適用しない」と、いうのも無理があります。
みんなが刑法や道路交通法、税法を熟知しているわけはありません。

それではなぜ、「是正勧告」で済むのでしょうか。

最終的には、罰則を適用しても誰のためにもならないから

労働基準法などの労働法規は、もちろん労働者を保護するための法律です。

罰則が適用され社会的信用を失えば、売上が下がって経営が苦しくなり、そのうち従業員の雇用が確保できなくなったり、最悪倒産に至るかもしれません。
そうなれば、結局そこで働く従業員が苦しむことになります。

そんなことをするより大切なことがあります。

・残業代未払いは罰するのではなく、未払い分を払わせる。

・遅刻で罰金を払わせている会社があれば、止めさせるとともに、過去にさかのぼって返させる。

このようにして従業員の権利を守り、将来に向けて正しい姿に戻していくのです。

会社が法を守る正常な状態に正すことが、結局そこで働く従業員たちの未来を守ることになるのです。

是正勧告は決して甘い処分なのではなく、労働者保護のためなのです。


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