基金解散に伴う清算(追記)国民年金未納なら一時金で任意加入がお得
たまには社労士らしい記事も、書いてみたいと思います。
昨年の8月に、厚生年金基金の解散に伴う清算の記事を書きました。
清算完了後に分配金額として受け取るお金を、一時金として受け取るか、それとも通算企業年金に移管するか、という判断を迫られて、悩んだ末に一時金を選んだ顛末の記事です。
>> 基金解散に伴う清算(残余財産の分配)、一時金か通算企業年金か?
軽い気持ちで書いたのですが、検索されて読まれることが多くて、正直驚きました。
一時的なものかと思っていましたが、その後も検索流入は止まらずに、半年経った今ではこのサイトの人気ナンバーワン記事だったりします。
きっと今が、清算手続きのピークなのかもしれません。
いきなり「どちらを選ぶ?」と言われて、戸惑われている方も多いのでしょう。
これは、それぞれの厚生年金基金が別々に清算手続きを行っているために、まとまった情報が少ないことも、原因のひとつなのかもしれません。
しかし、そろそろ各厚生年金基金の清算手続きも、終盤を迎えているようです。
>> 基金解散に伴う残余財産の分配金額がそろそろ確定。概算より増える?
私は一時金を選択して満足していますが、まだこれから選択を迫られる方や、選択してしまったけどどうだったのか、と思われている方のためにも、追記として、私の一時金の使い道を紹介しておきます。
国民年金保険料の未納期間があるなら、通算企業年金に移管するより一時金で国民年金に任意加入!
国民年金はご存じの通り、20歳から60歳までの40年間支払った方が満額受給者となります。
現在では20歳以上になると強制加入となりますが、平成3年までは学生は任意加入とされていましたので、多くの大学生は国民年金に加入していませんでした。
したがって現在50歳を超えている大卒の方のほとんどが、少なくとも2年以上の国民年金保険料未納期間があるはずです。
そんな方には救済措置として、60歳を超えた後にも国民年金に任意加入(入りたい人が入れる)ことができて、少しでも満額に近い年金を受け取る道が用意されています。
これはもちろん、学生で任意加入期間に未加入だった人だけではなく、自営業などで未加入期間がある方も同様です。
私もこの、「未加入期間」を持つひとりです。
国民年金に任意加入できるなら、通算企業年金に移管するよりも、多くの年金が受け取れます!
この任意加入。たとえ60歳を超えていて国民年金を満額受給できない方でも、厚生年金に加入している方はできません。
60歳以降も会社勤めされる方は、注意しましょう。
ちなみに、私は大丈夫です。
定年後には独立開業、あわよくば早期退職を、とたくらんでいる私は60歳を超えて会社勤めをする気は1ミリもありません。
100パーセント任意加入が可能です(可能なはずです・・・願望込みです)。
どれくらい年金を多く受け取れるのか、実際に計算してみましょう
残余財産の分配金、私が一時金として受け取れる金額は、最初の予定では約35万円ということでした。
ここで通算企業年金を選んでいたら、年間約24,000円になる予定でした。
国民年金保険料は、平成29年度に制度改正の上限金額である16,900円に達しましたから、基本的にこれから上がることはありません。
実際の保険料は、これに改定率というものを掛けますので、毎年少し変わりますが、仮に17,000円弱と考えてみましょう(平成30年度は16,340円です)。
35万円÷17,000=21か月加入できます。
国民年金の制度上の支給額は、40年(480か月)間保険料を支払った場合の満額で年間779,300円になります(これまた毎年少し変わります、平成30年度の新規裁定者で月額64,941円)。
年間78万円とすると、780,000×21/480=34,125円
おお! 受け取ることができる一時金で国民年金に任意加入すれば、年金が年間34,000円も増えるじゃありませんか。
これなら通算企業年金に移管するより、年間10,000円もお得です。
しかも、私が通算企業年金への移管を選ばなかった大きな理由のひとつ、
- 年金収入は一か所からがいい(管理が楽)
すらもクリアです!
「社労士だったら昨年8月の選択時点で計算しとけよ!」というお叱りの声が聞こえてきそうですが、そこは気付かなかったということで、ご容赦を。
国民年金の半分は、税金から給付されるから
なぜこんなに差があるのかというと、答えは簡単です。
国民年金の半分は、税金から給付されるというお得な制度だからです。
今回の話とは直接関係ありませんが、厚生年金保険料の半分は事業主(勤め先の会社など)が負担してくれる、これまたお得な制度です。
「国が信用できない」なんて言って国民年金に加入せず、保険会社の個人年金に入ることなどは、とてももったいない話です。
国が財政破たんするときに、保険会社が元気なはずはありませんものね。
>> 年金制度は破たんしない。年金制度「だけ」が破たんする日など来ない
年金とブログ収入での楽隠居社労士を夢見る私としては、ここでひとつポイントをあげた気分です(あと何ポイント貯めれば夢が叶うのかを考えると、気が遠くなりますが・・・)。
そんなことよりも、任意加入の国民年金保険料の資金に使う予定の、大事な大事な一時金がもうすぐ私の手元に届くはずです。
うっかり使い込んでしまわないように、気を付けなくては!
一時金の振り込みがありました
これで私の厚生年金基金の話も完結です。
>> 基金解散に伴う清算(完) 一時金支払いのお知らせが届き、受取完了
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