人事や総務でなくても大丈夫。社労士登録に必要な実務経験を積む方法

公開日:   最終更新日:2018/09/23

国家資格には、登録のために「実務経験」が必要とされるものがあります。
社会保険労務士も、その中のひとつです。

この「実務経験」、意外とハードルが高いですよね。

  • 実務経験が必要だから、合格しても登録できない
  • 登録できないなら、社労士を目指しても仕方がない
  • 実務経験が必要ない、他の資格にしよう

こんな考えで社労士をあきらめてしまうのは、もったいない話です。
実は、若い頃の私は、これが理由で一度あきらめました。

「事務指定講習」を受ければ登録できますが、費用はかかるし会社を休まなければいけません。

何でもいいから資格を取りたいだけならば、「実務経験なし」で登録できる方がいいですよね。
確かに実務経験が全くないと、何の業務もできません。
でも経験がないと登録できないよりは、できた方がいいですよね。
登録してから経験する方が楽しいです。

しかし安心してください。
社労士登録のために実務経験を積むことは、そんなに難しくありません。

社労士登録に必要な2年間の「実務」は、思っているよりずっと幅広い

社労士登録に必要な「従事期間証明書」は、全国社会保険労務士会連合会のホームページからダウンロードすることができます。
>> 従事期間証明書(全国社労士会連合会HPへのリンク)

この証明書には「職歴」という欄があり、ここに具体的な実務従事期間を記入します。

  • 期間
  • 所属部課(役職名)
  • 従事した事務の具体的内容

留意事項に「労働社会保険諸法令関係事務に従事した期間のみを記入すること」とあり、続いて具体例が示されています。
雇用保険や健康保険に関する事務などが列挙されていて、人事部や総務部に所属されていない方には、到底無理に見えてきます。

しかし会社に勤める以上、労働法や社会保険諸法令とは無縁な方はいないはずです。

  • 労働組合で役職に就く方もいるでしょう
  • 管理職なら労務管理や勤怠管理くらいするでしょう
  • 経理や事務なら給与計算や賃金台帳に携わるでしょう
  • 小さな会社なら自分で社会保険事務手続きをすることもできるでしょう

これらのことが従事期間として認められるかどうかは、残念ながら分かりません。
しかし少しでも可能性があるならば、連合会に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
従事期間証明書に「諸法令に従い実務を行っていたこと」を具体的に書いて、連合会登録課あてにFAXすれば、ちゃんと回答いただけるそうです。

試験に受かってから、実務経験を積むという方法もあります

残念ながら諸法令に全く無関係な業務をしている場合や、従事期間が認められなかった場合は、合格後に実務経験を積みましょう。
せっかく試験に受かったのですから、会社にアピールし、経験の積める実務を担当させてもらいましょう。
将来の役にも必ず立ちますので、一石二鳥です。

本業が忙しい方には、「就業規則(改正)届に関する事務」もおすすめです。
従事期間証明書の「具体的な記載例」にも載っている立派な実務ですし、そんなにしょっちゅう改正があるわけではありません。
ちなみに私の実務経験もこの業務でしたが、従事期間として書いた2年の間に実際の就業規則改正は、1,2回くらいだったと記憶しています。

人によっては、事務指定講習もいいのかもしれませんが・・・

会社勤めをされていない方や、今いる会社では実務経験が積めない方は、最後の手段、事務指定講習という手が残っています。
連合会が行うこの講習、正式名を「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」といい、終了することで登録要件を満たすことができます。
この受講案内は、試験合格者あてに送られてくる登録の案内に同封されています。

この事務指定講習の受講資格には、「実務経験が2年に満たない者」と明記されていますので、厳密に言えば「実務経験が2年以上ある方」は受講することができません。
経験している実務範囲が狭いので将来のために講習を受けたい、ということはできないのです。

私は受講していませんので想像になるのですが、「社労士業務の基礎講習」という性質ではどうもないようです。
また、半年を超える期間、平日に行われる4日間の面接指導課程、75,600円(税込:※平成29年度)という値段などを考えれば、受けずに済むならそれに越したことはありません。
あくまで個人的な意見ですが、現場を伴わない「訓練」や「座学」があまり役に立つとも思えません。

個人的には事務指定講習は、これしか方法がない方以外はおすすめしません。

公務員など担当業務が決まっていて異動もない場合は仕方ありませんが、そうでないならば、今いる会社で実務経験を積むことを強くおすすめします。

社労士も個人事業主である以上、ある程度の営業力が必要になってきます。
自分の勤める会社で「経験の積める業務」担当の座を獲得することは、将来、知らない会社から依頼を受注することよりは簡単でしょう。

現場で行う実務経験は、机上の演習より確実に役に立ちます。


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